「実家を相続したけど、住まないのでどうするか悩んでいる」
「売りたいけど多額の税負担があるのではないか不安だ」
「空き家のまま放っておくとどうなるの?」といったご心配のある方。
放置すると行政の勧告により固定資産税の増額やペナルティなどの法整備がなされる反面、売却に関して税法上の優遇措置も行われています。
住んでいない実家を相続したけど思い出のある実家を売るには抵抗がある。
けれど、空き家によるリスクは、
不審者の侵入による「防犯上のリスク
ゴミの不当投棄による「衛生上のリスク」
老朽化した場合の「倒壊のリスク」
などから行政が「空き家をなくす」という政策を推進しています。
そこで、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」があります。
〈空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除〉
不動産売却の税金の概要
不動産を売却した場合の税金は、事業や給与、年金といった他の所得とは別で計算されます。その計算方法は、売却価格から、その不動産を購入した時の金額(取得費)と売るために要した費用(譲渡費用)を差し引いた売却益に所有期間に応じた税率を適用して計算します。
適用される税率は、売却した日の属する年の1月1日時点で、
5年以内の場合は、所得税:30.63%、住民税:9%となります。
所有期間が5年を超える場合は、所得税:15.315%、住民税:5%となります。
〈事例〉
仮に、亡くなられた人が40年前に900万円で買った土地を4,000万円で売却した場合、建物の取り壊し費用が100万円かかったとします。
その場合、売却益は4,000万円 -(900万円+100万円)=3,000万円になります。
かかる税金は、
所得税が3,000万円×15.315%=459万円、
住民税が3,000万円×5%=150万円、
合わせて609万円です。
ところが、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」の特例を使うと、売却益3,000万円を控除できますから、売却益は0になり、結果払う税金は0円になります。
特例を受けるための要件
さて、大変優遇されたこの制度ですが、適用には次の二つの要件を満たすことが必要です。
[要件①]
平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡であること【令和5年12月31日までの譲渡】
例)相続開始の日が平成28年7月1日とすると、3年目を経過する日の属する年の12月31日は平成31年12月31日になります。(今からのご準備でも遅くはありません)
[要件②]
対象となる家屋を耐震リフォームして売るか、取り壊して売った場合に適用されます。
空き家の3,000万円特別控除の主な要件
1.相続により土地及び建物を取得。
2.相続直前に被相続人が1人で居住。
3.昭和56年5月31日以前に建築された区分所有されていない家屋。
4.相続から売却までに事業・貸付・居住の用に供していない。
5.譲渡対価の合計額が1億円以下。(取り壊し費用等を含める)
6.相続人が「耐震リフォーム」または「家屋を取り壊し」して売却。
*「引渡し日」までに工事を完了すればよい。ただし、譲渡所得の確定申告の際し、「譲渡の日」を「引渡し日」ではなく「売買契約日」として申告する場合には、当該「売買契約日」までに工事を完了する。
7.「相続の開始があった日から3年目の年の12月31日まで」に売却。
8. 1人あたりの控除額は3000万円(令和6年1月1日以降の譲渡)被相続人居住用家屋が譲渡時から翌年2月15日までに次のいずれかに該当すること。①新耐震基準に適合することとなった場合 ②全部が取壊された場合
9. 相続人が3人以上いる場合、1人当たりの控除額は2000万円となる
必 要 書 類 等
①売買契約書
②取り壊しから譲渡までの敷地の状況が分かる写真
③取り壊しの請負工事契約書の写し
④被相続人と相続人の住民票
⑤電気・ガス・水道などの閉栓証明等
⑥固定資産税課税台帳コピー